作家・吉村喜彦のホームページ

5つの短編連作集です。

バー・リバーサイド 吉村喜彦

『バー・リバーサイド』 吉村喜彦

舞台は、東京・二子玉川。

二子玉川

駅から少し離れた住宅地にある、川沿いの小さなバー。その名も「バー・リバーサイド」。
L字型のカウンターは7席。

京都大学 吉村喜彦 母校

京都の大学の研究室で万年助手だった男(60歳)がマスター。
大学でいろいろあって、ふるさとの二子玉川に戻って、店を始めました。
アシスタントのイケメン・バーテンダーは、生まれも育ちも沖縄のウチナーンチュ(30歳)。
たしかな腕と愛嬌で店の人気者。

アシスタントのイケメン・バーテンダーは、生まれも育ちも沖縄のウチナーンチュ

そんな二人が美味しいカクテルを作る店にやってくる5人の男女の
ハートウオーミングな物語です。
二子玉川の小さなバーから、台湾の台南やフロリダのキー・ウエスト、
キューバのサンチャゴ・デ・クーバまで
物語は自在に時をこえ、空間をこえて、広がっていきます。

第1話。二子玉川の有名な手打ちうどん屋を営む男(70歳)。趣味はウォーキング。
   なんと一日、40キロも歩くのだとか。
   しかも、夜、歩くので、川沿いでいろんな目に見えないものと遭遇しています。
   かれの語る不思議の物語とは・・・?
   川にはいったい何がいるのでしょう? 川とはいったい何なのでしょう?

第2話。サラリーマンを辞めてフリーのライターになった男(50歳代後半)
   フリーになって、最初は順調に仕事も来ていたが、
   仲間に裏切られ、妻は病気になり・・・どうもうまくいかないことばかり。
   最近は、小さなことが気になって仕方がなく、手ばかり洗っている。
   四方八方壁だらけの、そんな神経症男は、どうやって、病んだこころから
   恢復できるのか・・・?

第3話。美人の台湾整体師。50歳。
    子どもの頃に、父が語ってくれた「桃源郷」を求めて、日本にやってきたが・・・。
   とてもやさしい性格。酒は強く、感覚も鋭い。
   最近、やっと自分たちは、中国人の一部ではなく、「台湾人」だと思うようになった。
   そんな美人整体師の語る、理想の土地とは?

第4話。食べもの雑誌の編集者の女の子(35歳)が主人公。
   一所懸命やっているのに、雑誌の売上げは下がるばかり。
   無能な編集長や汗っかきのデブ先輩(女性)にいびられる毎日。
   編集長にはセクハラされるし、自分の出した企画もボツに。
   仕事を頼んだライターや取材をしたお店からも総スカン。
   「こんな編集部。やってらんないよ」と思いつつも、
   わたしの人生、これから、いったいどうすりゃいいの?

第5話。「バー・リバーサイド」のマスターが、その道の先輩として
    尊敬する80歳の老バーテンダー。
    かつて愛妻とふたり、二子玉川高島屋近くで、バーを営んでいたが、
    妻に先立たれて、店を閉め、放浪の旅に出ていた。
    大みそかの夜、常連の客がカウントダウンを楽しもうと集っていると、
    老バーテンダーがあらわれ、妻の幻を追ったキューバの旅で体験した不思議を語る・・。

プロデュース:吉村有美子