作家・吉村喜彦のホームページ

仲代達矢・主演の「人間の條件 」
(小林正樹監督)をみた。
1部から6部まで、9時間30分あるが、
あっという間だった。
舞台は、昭和18年の満州。
満鉄調査部のエリート・サラリーマンだった主人公は、
召集免除を条件に、鉱山の現場に転勤となる。
現場では、捕虜や強制連行された労働者(中国人・満州人・朝鮮人)が、
低賃金かつ非人間的環境のもと、
過酷な労働を強いられていた。
主人公は、労働者のために上司とたたかう。
が、陰険なその上司によって、徴収免除の約束も反故にされ、
戦線に追いやられることになる。
不条理な軍隊生活、
ソ連軍の侵攻、悲惨な敗走──。
主人公は、限界状況のなか、必死に生き抜こうとするが・・。
人間の條件
公開は、1959年、1961年。
ぼくがまだ幼稚園〜小学1年生のころ。
当時、街から聞こえた「岸、やめろ」の声の記憶がある。
そのころから、岸の顔は嫌いだった。
(小学校のいやな教師がそっくりの顔だった。
 そやつは教育勅語を毎朝よみあげていた。
 入学早々のぼくに「学校やめなさい」と言った)
     *
軍靴の響きのする今、この映画を観て、よかった。
主人公はリベラルな性格で、
会社や軍の上層部とぶつかる。
上司は邪魔者を、過酷な現場に送り込む。
(いまの会社でもよくあること)
このあたりから 自分自身の会社員時代を思い出し、
はらわたが煮えくり返るような気持になってきた。
     *
徴兵後は、初年兵教育という名の「いじめ」。
ぼくが宣伝から営業にいかされたとき、
色のちがう人間ということで、監視し排斥する者もいた。
そんなぼくを擁護し、ちゃんとした営業マン教育を
してくれた先輩・仲間もいた。
そのあたりのことは、拙著『ビア・ボーイ』に書いた。
      *
日本の組織は、どうして、こんなに排他的なムラなのか。
まだ経済がよかった頃は、
それは露わになりにくかった。(派手な光に眩惑されていた)
しかし、いま、さまざまなところで、
陰湿なイジメが露見し、
上司に媚びへつらうバカが跳梁跋扈し、
現場の人間が萎縮している。
その最たるものが、現内閣とそれに尻尾を振るマスコミだ。
      *
日本は、たいへんな危機的状況にある。
ぼくたちは、
それぞれの持ち場で何ができるかを
考えなければ。
いま、戦わなければ、いつ戦うのか、と思う。

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