韓国映画「ソピョンジェ(西便制)〜風の丘を越えて」を再見。
30年ぶり。
テーマは、パンソリという音楽そのものと
「恨(ハン)」という、韓国文化の根だろうか。
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パンソリは、唱い手と鼓手(鼓をうつ人)の二人で
プレイされる。
人から人へ歌い継がれてきた、口承文芸。
「ひとりオペラ」ともいわれる。
300年の歴史があり、
人びとの喜び、怒り、哀しみ、怒りなど
を映してきた。
祭りや市のたつ日に、村の広場で、
大道芸として演じられてきた。

映画に登場する旅芸人家族は、3人。
しかし、血は繋がっていない。
かつてパンソリ界で、将来を嘱望された「父」。
その「養女」と「養子」。
女の子が「唄」をうたい、
男の子が「鼓」をうつ。
父は、ふたりを厳しく鍛えながら、旅を続ける──
という芸道ロードムービー。
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パンソリをはじめて聴いたのは、
1987年の1月、厳冬。
中上健次さんと一緒にソウルに行ったときだった。
前日、中上さんとベロベロに飲んで、ひどい二日酔い。
凍りつくようなソウルの空の下、
パンソリの唄や鼓の音が
とてもおどろおどろしい感じがして、正直、怖かった。
今回、この映画でパンソリをじっくり聴いて、
はじめて感動した。
能楽のシテの語る「うらみつらみ」と通底する「恨(ハン)」
を思った。
アメリカ黒人音楽の「ブルーズ」
ブラジル音楽の「サウダージ」
ケルト音楽のせつなさに共通する、
失われたものへの、どうしようもない思い、かなしみ、怒り、うらみ
──それらが複雑に絡みあった感情。
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映画のなかで、パンソリを厳しく教える「父」は、
子どもたちに「恨(ハン)をこえていけ」という。
「心のしこりとなった悲しみや悔しさ、怒り───『恨ハン』は、新しい何かを誕生させる力にならねばならない」
と原作者の作家・李清俊は語っていた。
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「ハンから生まれ、ハンを越えていく」
それって、「蒸留」ということかもしれない。
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「ソピョンジェ(西便制)のイム・グォンテク監督。
パンソリの演目を映画化した
「春香伝(しゅんこうでん)も素晴らしかった。
