作家・吉村喜彦のホームページ

JF全漁連WEBでの連載「ニッポンさかな酒」。
「生春巻きには、ルア・モイ」を書きました🍀
https://sakanadia.jp/sakana/kawasaki_goi-cuon_nepmoi/
        *
蒸し暑い日が続くと、むしょうにベトナム料理を食べたくなる。
ホーチミン市に4回行ったが、
いずれも、からっと晴れるということはなかった。
空気の中に微細な水の粒子が浮んでいるようで、肌がじっとりと汗ばんだ。
ベトナム人形

でも、この暑熱と湿気がいい。
ビールがことのほか美味しい。

さいごん川

食べものは、なんといっても、生春巻き(ゴイクォン)。

ホーチミンで食べたときは驚いた。
それまで東京で食べていた生春巻きは、
いったい何だったのかと思った。

透きとおったライスペーパーに巻かれたエビの赤さとハーブのみどり、
ニンジンの橙色が、目にスッと飛びこんでくる。

ゴイコン

この涼やかさはどうだ。
この澄明と洗練はどうだ。

見ているだけで、体温がすっと下がる。
まわりの空気が、清潔になる。

ひとくち頬ばると、
やわらかく繊細なライスペーパーの食感とともに、
南の植物、ミントやパクチーの香気、
そしてエビの甘みが口中にふんわりと広がるのだ。

ゴイクォンの「ゴイ」とは、「和える」、
「クォン」は「巻く」という意味。

もともと緑ゆたかなベトナム南部の家庭料理だったが、
1986年にはじまったドイモイ政策
(社会主義体制を維持しつつ市場経済を導入する)
で、ベトナム料理が世界に広がっていった。

その流れのなかで、ゴイクォンの人気が高まったのだ。

ホーチミン街のひと1

 

街のひと2

 

街のひと3

先日、川崎市・武蔵新城駅近くのベトナム料理屋で食べたゴイクォンは
現地で食べるのと同じくらい美味しかった。

出来たてをサーブしてくれるので、
しっとりしたライスペーパーが、エビや野菜をきゅっと包みこんでいる。
この食感はなかなか東京では体験できない。

越南

エビは、バナメイエビ。

ベトナムはエビ養殖量が世界3位。
南部のメコンデルタで盛んに行われている。
ライスペーパーの原料である米の生産量は世界5位。
日本のおよそ5~6倍だ。

エビ@ベトナム

ベトナムは米とエビの国。

野菜とハーブの種類や量も半端ではない。
食堂に行くと、野菜が食べ放題のところも多い。

ライスペーパー代わりに野菜で巻いたゴイクォンもあった。

野菜ゴイコン

合わせるお酒は、ベトナムの焼酎、「ネプ・モイ」。

原料は米。
透明な液体でアルコール度数40度。

グラスを近づけると、つきたてのお餅のような甘い香りがする。

ネプ・モイ

ひとくち飲む。
と、それほどアルコールのきつさを感じない。
むしろリキュールのようにスイートだ。
飲み過ぎに気をつけねばならないほど、おいしい。

ゴイクォンをつまんで、口に含むと、米同士の相性で、抜群のマリアージュだ。

サイゴン川バー

むかし、初めてコニャック地方に旅したときに、
葡萄をおつまみにしてコニャックを飲んだことがあった。
これがじつに良かった。

やはり、原料が同じもの同士は惹かれあう。

だから、ゴイクォンには、ネプ・モイ。
今年の夏の定番になりそうだ。

まちのひと5

 

まちのひと4

ゴイコンとネプモイ

 

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