作家・吉村喜彦のホームページ

今日は、「2016年、記憶に残る食べもの」をご紹介していきます。
今回みなさんからお答えいただいたアンケートには、
とってもバラエティに富んだ食べものとエピソードが添えられていました。
では、さっそく、いってみましょう。

まず、最初は、静岡県の「はる」さんの2016年、記憶に残る食べもの。
それは、「ご主人が漁師になって、はじめて釣った鯛の刺身」だそうです。

「ダンナが脱サラして、漁師になり、
はじめて釣った鯛を持って帰ってきてくれて、
家族で刺身にして食べました」

 「はる」さん。メッセージ、どうもありがとうございました。
 すごいですねえ。脱サラして、漁師。
 ぼくも脱サラして、作家になりました。なので、とても共感をおぼえます。
 ぼくが作家になって感じたのは、
 この仕事はなんの後ろ盾もなく、不安定だということ。
 そして、そのとき、作家と漁師ってよく似てるなあ、と思い、
 漁師の仕事を知りたくなって、日本全国の漁師を取材し、本を書きました。
 なんといっても、苦労して獲った魚の味は、最高ですよね!
 では、漁師への夢を実現された、「はる」さんとご主人に、この曲を。

ジョン・レノン「no.9,dream」。どうぞ。
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M1.ジョン・レノン「no.9 DREAM」           4:48
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M1.ジョン・レノン「no.9 DREAM」

M1.ジョン・レノン「no.9 DREAM」

 さて、今日、最後にご紹介する「2016年、記憶に残る食べもの」も、
カレーにまつわるお話です。
 ご紹介します。
「祖母の食べかけのカレー」が、2016年、記憶に残る食べもの。
 とメッセージを下さったのは東京都の「みーぐ」さん。

「からだの調子が悪いと言っていた祖母を元気づけるために、
娘と息子(祖母から見ると、ひ孫)を連れて遊びに行きました。
 いつも『身体が痛くて・・』なんて言う祖母も、ひ孫が来るとなると、張り切って、
カレーをつくってくれました。
 ただ、年相応なのか、軽い認知症に足を突っこんでいたのか、
人数分の料理を用意することができず、
私は祖母が残したカレーを食べました。
そして、その1週間後、祖母は、意識をなくし、そのまま亡くなりました。
カレーは、祖母の得意料理で、祖母の料理で育った私には、
そのときのカレーも『いつものカレー』で、
祖母の残りの冷めたカレーを食べたので、
『美味しい』とも言えず、ほんとうに後悔しています。
これが、私の記憶に残る食べものです。
子どもがいるため、毎週、聴くことはできませんが、
いつか落ちついた気分で、毎週かかさず拝聴できる日を楽しみにしています」

 「みーぐ」さん。メッセージ、ほんとうにありがとうございます。
それでは、クラッシック音楽が、お祖母様がお好きだったということなので
スミ・ジョーのソプラノで、ヘンデルの歌劇「リナルド」から
「涙の流れるままに」を聴きながら、今日はお別れです。

 一緒に食べることは、一緒に生きること、なのですね。

 ご案内は、吉村喜彦でした。

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M6. スミ・ジョー「ヘンデルの歌劇『リナルド』~涙の流れるままに」5:24
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M6. スミ・ジョー「ヘンデルの歌劇『リナルド』~涙の流れるままに」

M6. スミ・ジョー「ヘンデルの歌劇『リナルド』~涙の流れるままに」

プロデュース:吉村有美子