作家・吉村喜彦のホームページ

「週間読書日記」に、『二子玉川物語』のプロモーションの話を書きました。
二子玉川の書店さんとのコラボレーションで、
本が売れています、というお話です。
梁塵秘抄

11月X日。新作の小説『二子玉川物語~バー・リバーサイド2』
(角川春樹事務所・ハルキ文庫・540円)
のプロモーションで、二子玉川駅近くの書店をめぐる。

 駅ナカにあるブックファーストは、シリーズ第1作『バー・リバーサイド』を全国最多、
累計700冊以上を売ってくださっている。

二子玉川駅のプラットフォームは川の上に突き出しているほどだから、
まさに川べりの書店・リバーサイド・ブックストアである。
なので、熱気のある店内にもときおり川風がさやさやと感じる。その風がやさしい。

 二子玉ライズにある蔦屋家電では、地元を愛する書店員さんが、
『二子玉川物語』のために8ページのリーフレットを作成してくれた。

小説に登場するうどん屋、そば屋、寿司屋、バー、果樹園などの位置を書き込んだ地図を作り、
小説に出てくるカクテルのレシピを写真入りで紹介してくれている。

プロデューサーである女房・有美子とぼくのインタビューも掲載してくれている。

また、バーの落ちついた空気感を再現した展示スペースでの大量陳列も目を引く。
書店員さん一人ひとりが1冊1冊ていねいに売ってくださっている。
その熱い気持ちがとてもうれしい。
 
そんな折に読んだのが、
西郷信綱の解説する『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』(講談社学術文庫・980円)。

中世に流行した歌謡=「今様(いまよう)」を後白河院が編んだのが「梁塵秘抄」だが、
そこに登場するのは遊女(ゆうじょ)や傀儡子(くぐつ)、
博徒(ばくと)、修験僧(しゅげんそう)などアウトローな人々だ。

なかでも歌と舞いを生業として諸国をめぐった遊女のつくった歌がいい。

淀川と神崎川の分岐する摂津国・江口(えぐち)という土地はかつて遊女の里として栄えた。
遊女は小舟に乗って、客の乗る船に近づいてきたという。

かつて鴨川などの川辺には刑場や戦場もあり、市が立ち、
歌舞伎などの歌や芸能も生まれた。
熊野川の中州には熊野本宮がある。

この世とあの世の間を流れる「川」というものを、あらためて思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です