作家・吉村喜彦のホームページ

10月27日木曜日午前9時20分~ 午前10時00分

「夜は千の目をもつ」ボビー・ヴィー
(2分35秒)<WAVE MFPC-85Z08>
「ジュ・テーム」スタッフ・ベンダ・ビリリ
(4分10秒)<プランクトン VIVO-360>
「人生のメリーゴーランド」久石譲
(5分11秒)<ユニバーサル UPCI-1014>
「ア・ソング・フォー・ユー」レオン・ラッセル
(4分06秒)<EMI TOCP-8824>
「ホワット・カラー・イズ・ラブ」シトラス・サン
(3分50秒)<MIRAMAR MIRA 3>
「ダウンタウン」ジュガーベイブ
(4分25秒)<NIAGARA WPCV-10029>

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さて、今日は、日本各地をめぐりましょう。
 まず、最初は、東京・銀座に行きましょう。
千切りキャベツの発祥地は、じつは銀座──ということを最近知りました。
千切りキャベツと銀座・・・この結びつき。ちょっと驚きました。
「とんかつ」や「イカフライ」など揚げものの主役を盛り立てる絶妙の脇役・・は、
なんといっても「千切りキャベツ」。
さて、その歴史は、「とんかつ」とともにあるようです。
頃は、20世紀はじめ頃。
銀座の洋食屋さんでは、当時「とんかつ」は「ポークカツレツ」と言われていたようです。
まだ、ウスターソースもとんかつソースもなく、カツレツにかけるものは、
醤油に香辛料を混ぜあわせた自家製ドミグラス風のソース。
つけあわせは、ベークドポテトやフライドポテト、
煮込んだニンジンなどの温野菜だったそうです。
しかもバターでソテーしたり、濃いめの味付けだったようです。
ところが、日露戦争がはじまり、若いコックが兵役に借り出され、
そのお店は人手不足になってしまい、手間ひまのかからない「千切りキャベツ」を思いついて、
それを添えたところ、
「揚げものの後に食べると、口がさっぱりする」
 と思わぬ人気を呼んだそうなのです。
こうして、とんかつの永遠のパートナー、千切りキャベツが誕生したそうです。
つまり、千切りキャベツは、もう100年以上の歴史があるんですね。
 では、千は英語でthousannd。ということで、
「夜は千の目をもつ=The Night Has A Thousand Eyes」ボビー・ヴィーの歌で、どうぞ。
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M1.Bobby Vee 「The Night Has A Thousand Eyes」      2:3
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日本料理に欠かせないのは「ネギ」。
 ネギの原産地は中国西部。白い根の長い長ネギ(白(しろ)ネギ)は、中国北部で、葉ネギ(青ネギ)は南中国で生まれたそうです。
 日本には古い時代に渡ってきて、「日本書紀」にも登場しています。
 関東では、白ネギ=根深(ねぶか)ネギが主流です。白ネギは、成長とともに光を遮るように「盛り土」をし、白く柔らかくなるように栽培します。中の芯に独特のぬめりがあり、
これは甘みと柔らかさの元になります。
煮ると甘くトロリとした食感になるので、江戸ではネギとマグロだけを甘じょっぱい割下で
グツグツと煮て食べる葱鮪(ネギマ)鍋が人気でした。
 さて「白鬚ネギ」は、そんな「おいしい脇役」の美しい見せ方です。
「白髪ねぎ」とは、白ネギの白い部分を白髪のように縦に細く千切りしたもの。
汁ものや煮ものなどの中央部にこんもりと盛りつけ、お料理の飾りや薬味などとして名脇役としての存在を発揮します。
刻みねぎよりも、香りが控えめでシャキシャキとした食感がいいです。
ラーメンなどにもよくトッピングされていますよね。
 豆板醤とラー油と白髪ネギを混ぜ合わせるだけで、簡単なお酒のおつまみになりますし、
そこに細かく刻んだチャーシューを混ぜて、ご飯に載せても美味しいです。
 ぼくが好きなのは、砂肝と白髪ネギとザーサイのおつまみ。
茹でた砂肝、白髪ネギ、細切りにしたザーサイを混ぜて、塩コショウと胡麻油と醤油で味を調えて作ります。
 これ、ビールのおつまみにぴったりです。ぜひ、お試しあれ。
 ぼくは、アンチ「アンチエイジング」なので、白髪ネギ、大好きです。
 では、白い髪と白い髭のおじさん、レオン・ラッセルの「A song for you」。
どうぞ。
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M4.レオン・ラッセル「A song for you」          4:06
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Leon Russell "A Song For You"

Leon Russell “A Song For You”

今日、最後は、東京の佃島で翼を休めましょう。
 佃島といえば、古くからのご飯の脇役「佃煮」の生まれたところ。
 佃煮は、シラスや小エビなどの小魚やアサリなどの貝類、昆布などの海藻を甘辛く煮染めたものです。
 佃煮の誕生は、いまから400年ほど遡ります。
 徳川家康が豊臣秀吉の命をうけ、江戸に来たときに、江戸城の魚をまかなうために、
摂津国(大阪府)の西成郡佃村の漁師を呼び寄せ、シラウオや穴子、小エビ、シャコなどの
漁業権を与えたそうです。
 佃島の漁師たちは、将軍家に献上した余りの雑魚や売り物にならない魚を保存できるように調理したそうです。
この備蓄食品を売り出すと、「安くて日持ちもする」と江戸中で評判を呼び、地方から江戸につめていた侍が、国元に帰るときのお土産になり、それが全国的な人気につながったそうです。
 家康が、摂津の佃村の漁師を呼び寄せたのは理由がありました。
 というのは、本能寺の変のときに家康はわずかな手勢とともに堺にいて、たいへんな危機に陥るのですが、そのとき摂津の佃村の漁師たちが家康を救ってあげて、その甲斐もあって
なんとか岡崎まで帰り着くことができたそうなのです。
 あの甘辛く煮染めた魚介類を家康も食べていたのかもしれませんね。
 ちなみに、摂津国の佃村は、現在、大阪市西淀川区佃という住所になっています。
 では、東京の下町・佃島ということで、東京出身の山下達郎を中心に結成されたバンド、
シュガーベイブの「ダウンタウン」を聴きながら、今週はお別れです。
 ご案内は、吉村喜彦でした。
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M6.シュガーベイブ「downtown」            4:25
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プロデュース:吉村有美子