今日は、南米のペルーやチリでつくられる、
透明なブランデー「ピスコ」です。
ピスコとは、葡萄から生まれる蒸溜酒。
16世紀に、スペイン人が南米にブドウの樹を持ち込んできてから、造られはじめたそうです。
つまり、
スペインなどで飲まれるアグアルディエンテというお酒の兄弟のような存在なんですね。
南米のお酒で有名なのはブラジルのピンガ。
そのピンガが南アメリカ蒸溜酒・東の横綱とすれば、西の横綱はピスコでしょうか。
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チリを南北縦断したことがあるのですが、
チリの人がいったいどんなお酒を飲んでいるのか注意深く見ていたら、
ワインやビールに負けず劣らずピスコを飲んでいたのが印象的でした。
北のアタカマ砂漠の真ん中にあるオアシスの町では、
若者たちがディスコで、ピスコのストレートを飲んでいました。
マゼラン海峡をのぞむ南の港町
プンタ・アレーナスのホテル・バーでは、
ほとんどの人が、ピスコ・サワーというカクテルを飲んでいました。
このピスコ・サワー。
ピスコに卵白、砂糖、レモンジュースを入れてシェイクしたもの。
ちょっと甘めなので、ぼくは二杯目は砂糖ぬきにしてもらい、
三杯目はピスコのみにしてもらいました。
ピスコ・サワーはよく食前酒として飲まれます。
おつまみは、エンパナーダス。
揚げ餃子の中身がピロシキみたいなラテン系スナックですね。
これ、けっこうピスコサワーに合いました。
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チリのブドウ栽培に適した土地は、
サンチャゴを中心とした南北1000㎞くらいのエリア。
このあたり、地中海式気候なんですね。
ピスコ造りには、糖度の高い(=甘い)葡萄がよいそうです。
サンチャゴよりも北の、より暖かい地方で、
甘口シェリーをつくるペドロ・ヒメネスなどの種類が栽培されています。
アタカマ砂漠がようやく終わったあたり、
乾燥したココア色の大地に灌漑がほどこされ、
濃い緑色をした葡萄畑が、谷あいに広がっています。
町なかには、ジャカランダの青紫色の花、そしてブーゲンビリアの花が咲き乱れ、
一年中、青空が続き、そよ風が吹いている。
そんな土地で、ピスコは生まれるんです。
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サンチャゴのサルサ・ディスコにも行きましたが、飲む酒はやっぱり、ピスコ。
チリ人の性格は「熱情のラテン」とは、ちょっと違うニュアンスがあります。
もっと湿気や余情があるというか。
店では、サザンオールスターズの原由子が歌った、
なつかしの「わたしはピアノ」がサルサで演奏されていて、
地味目のカップルが、ちょっと恥ずかしそうに踊っていました。
それが、とってもチリらしい風情だなと思いました。