インターFM 「Otona no Radio」
本日のお話は、「アイリッシュ・ウイスキー」。
全文はこんな感じ。
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今日は、アクアヴィット。
北欧のジャガイモの焼酎です。
デンマーク、スエーデン、ノルウェーやドイツの代表的な蒸溜酒で、15世紀ころから造られているそうです。
蒸溜酒は、世界各国にありますが、
もともとは錬金術師によって、たまたま発見されたようです。
錬金術師たちは、ワインやビールを蒸留させて、
「命の水=ラテン語でアクア・ヴィテ」と呼びました。
蒸溜酒は、地中海のアラブ世界から世界各地に広がっていきました。
ヨーロッパではスペインからピレネー山脈を越えてフランスに伝わり、「オー・ド・ヴィー」になりました。
あるいは、海を渡ってアイルランドに渡って、ウイスキーの祖先になりました。
ウイスキーの語源「ウィスゲ・ベーハー」は、ケルトの言葉で、「命の水」を意味しています。
蒸溜酒の北への旅で行きついた先が、北欧のアクアヴィット。
アクアヴィットという名前自体が、命の水=アクアヴィテを踏襲しています。
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アクアヴィットはジャガ芋アルコールを、
キャラウエイやアニス、カルダモンなどのハーブやスパイスで香づけして、生まれます。
この香りが、それぞれのお酒の繊細なトーンをつくりだしていて、別名ハーブ・スピリッツと言われます。
数あるアクアヴィットのなかで、ぼくが好きなのは、デンマークのオールボー。
デンマークは山がなく、ほとんど平坦な土地なので、いつも風が渡っています。
コペンハーゲンの街を歩くと、ビルの屋上に颯爽と旗がはためいています。
旗はこうあるべきだ、という感じで、これがカッコいい。
で、その風に吹かれながら、にしんの酢漬けやスモークサーモンをつまんでアクアヴィットを飲む。
ニューハウンという港町で、ゆるゆると時を過ごすのはとても心地よかったです。
ボトルごと冷凍庫でキンキンにひやしたアクアヴィットをグラスに注ぐ。
と、グラスはすぐさま霜降り状態になる。
アクアヴィットのかすかなキャラウエイの香りがいいんです。
いちどグリーンランドに取材で行きました。
北極点から1400㎞のカナックという村に10日ほど滞在したのですが、
犬ぞりに乗って、イヌイットの猟師のアザラシ猟に一緒に行かせてもらいました。
1日中、青空の広がる白夜の季節。
夜は猟師小屋で眠るのですが、なかなか寝つけない。
で、イヌイットの友人と一緒に飲んだのがアクアヴィット「オールボー」。
小屋から出て、どこまで澄みきった真っ青な空の下で飲んだオールボー。
これ、たまらなく美味しかったです。
やはり、酒は天井のないところで飲むのがいい、と思いました。
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●Bruce Cockburn ブルースコバーン
「 High Winds White Sky 」
https://www.youtube.com/watch?v=SuhKatZY_kU&list=PLl3y5AzfSTUtBPIDYPGHXk1NFfH8gzlK5&index=6