テキーラは、スピリッツ業界ではすでに常任理事国入りをしています。
その筋では、ジン、ウオツカ、ラムと並ぶ四大スピリッツの1つと言われているらしいです。
ジンにはイギリス。
ウオツカにはロシア。
ラムにはイギリス、フランス、スペインという強力な後押しがあるのですが、
いかんせんテキーラには、これといった後ろ盾が感じられません。
いわば、お歴々がパーティーでタキシードを着て居ならぶなか、
ソンブレロをかぶってギターを抱えてやってきた、
なんだか陽気で純朴、土臭いやつ──というのがテキーラ。
有名になっても偉ぶらないキャラクターに、人知れずファンが多いようです。
「昨日はテキーラ飲んじゃってさ・・」
なんて二日酔いのときに、言われがちなのがちょっと、可哀想。
じつは、ぼくも何度かそんなこと言ったおぼえがあります・・。
何もテキーラが悪いんじゃない。飲み過ぎたおまえが悪いんだ、と自分を責めるべきでした。すみません。
「テキーラは敵ら」なんてことはありません。
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さて。
そんなテキーラ君の出身は、メキシコ中西部ハリスコ州テキーラ村。
あのカルロス・サンタナの出身地がハリスコ州なんですね。グアダラハラが州都です。
テキーラの原料は、ブルーアガベといわれる「竜舌蘭」。
その樹液と地下茎が大きくなった球茎(サトイモとかクワイなんかが典型的な球茎なんですが。あれを思い浮かべてください)、
そのアガベの球茎が使われます。
テキーラは、よくサボテンからできる、なんて思われていますが、それは間違いです。
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さて。そのアガベの球茎。
これ、直径80㎝、重さ40㎏ほどで、とっても大きいんですね。
アガベの球茎は、パイナップルを巨大にしたような感じ。なのでピニャ
(スペイン語でパイナップルのこと。トロピカルカクテル「ピニャコラーダ」のピニャですね)
このピニャを蒸し上げて、発酵、蒸留。そして、熟成ということになります。
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テキーラはメキシコよりも、むしろアメリカで飲まれていて、
ロバート・デ・ニーロやクリント・イーストウッド、もちろんサンタナもテキーラ・ファン。
ストーンズのミック・ジャガーもテキーラをオレンジジュースで割った「テキーラ・サンライズ」というカクテルが好きだったのも有名です。
イーグルスにはその名も「テキーラ・サンライズ」という曲がありますよね。
ぼくはテキーラは、やっぱり、ストレートをショットグラスでやるのが好き。
親指と人さし指の間にライムをしぼり、
濡らしたところに塩をつけ、
塩をなめた直後にクイッ。
飲み終えたら、ライムをかじる。
チェイサーは、サングリータと呼ばれる
オレンジジュースとトマトジュースを割ったもの。
これがまた美味しい。
ロスアンジェルスやサンディエゴなどの乾いた空気、強烈な光のなかで飲むと、最高ですね。
テキーラは「光の酒」だと思います。