秋晴れの一日。
高校大学を通じての親友夫妻とぼくら夫婦4人で
葛飾・柴又に行きました。

いわずと知れた寅さんの故郷。
ことし、「男はつらいよ」シリーズにハマりました。
息が詰まりそうな、いまの日本。
しんどいときは、寅さんの映画を観ることにしています。

親友夫妻は千葉県・柏に居住。
江戸川を渡ると、柴又。
ぼくは東京の端っこ、多摩川べり。
ボーダーからボーダーへの旅です。
ぼくは、2020年5月にはじめて柴又に行き、
今回は2回目。
5年前に食べた「天丼」の味が忘れられず、再訪とあいなりました。

帝釈天で待ち合わせ。
境内にはシルバーの方々が多いです。
源公は掃除をしてるかな?
御前さまは、渡り廊下を歩いているかな?
映画に出てくるキャラクターがそこここにいるような気になります。

その天ぷら屋さんは、帝釈天前の参道にあります。

店頭でご主人が揚げるゴマ油の匂いがいい。
今日は少し並びましたが、並びながら、天ぷらを揚げる挙措や
天丼をつくる段取りなどを見ているのも楽しい。

黒っぽい天ぷらは、いかにも下町のもの。
大きな海老(ブラックタイガー)、サクサクの衣もおいしいし、
なんといっても、甘いタレが妙に合っているんです。
なつかしい味わいというのでしょうか。

食後は、寅さん記念館へ。
実際の撮影で使われた「くるまや」のセットが
移設されていて、感激。

くるまや一家の会話が今にも聞こえてきそう。
番台にある黒電話に近づくと、電話が鳴ります。
受話器を取ると、
旅先の公衆電話からかけてくる、あの懐かしい寅さんの声が聞こえてきます。

かつて、寅さんの映画にほとんど関心がなかったのに、
どうしてこれほどハマったんだろう。
それは、たぶん、ひとの温もりがなくなりつつある、
いまの日本に幻滅しているからではないか。
スーパーに買物に行っても、つまらない無人レジ。
かつては顔なじみになるレジのひともいました。
もっと言えば、親しい八百屋さん、魚屋さんがいました。

いまの日本、みんな寂しくて人と関わりたいくせに、それを包み隠して、(それは決して美徳ではないと思います)
妙にお高くとまったり、「クール」で杓子定規な対応をしたり・・。
人と人の間に過剰な「膜」をつくるのって、ほんと、バカらしい。
そんなことをやってる間に、日本は、そして日本人の知性や感性は、
どんどんレベルが下がっていったんじゃないのか。
だから、きっと、いま、寅さんを
ぼくは欲しているんだと思います。

人間は、ひととひとの間にあります。
ニュースになるのは、「ひとが、どうした、こうした」ということのみ。
ひとを大切にしない世の中は、
ダメになるだけだろうね。
そんなことを思う柴又の秋でした。
