今日は、マルティニークのラム酒。
マルティニークというのは、カリブ海、
キューバの東南東の方向に浮かぶ島。
大きさは、沖縄島より少し小さいくらい。
ハイビスカスやブーゲンビリアが一年中咲き乱れるこの島は「花の島」とも呼ばれていてます。
「マルチニックの少年」という映画があります。
この島に生きる少年の成長を描いた素晴らしい作品です。
とってもみずみずしい映画で、
なかでも印象的だったのは、少年たちが島のラム酒を飲んで酔っ払うシーン。
これがじつに愉快、かつ、ラム酒が妙に美味しそうに見えました。
映画の音楽を担当したのは、マラヴォアというバンド。
マルティニークがフランスの植民県であることがよくわかる、
やわらかく繊細な音で、これがまた、とても品がよかったんです。
カリブ海の島々には、
ジャマイカのレゲエ
キューバのソン
マルティニークのビギン・・・
それぞれタイプの違うすばらしい音楽があります。
カリブのお酒=ラム酒も、
同じように島によって、それぞれ味わいが違います。
ラム酒は、サトウキビからできるお酒。
イギリス系植民地でつくられるラムはrumと書き、スペイン系はron ,フランス系は、rhum 。
それぞれの味わいの特徴は、(もちろん例外はありますが)
イギリス系はヘビーなダーク・ラム。
たとえばマイヤーズ。
スペイン系はライト・ラム。
たとえば、バカルディ。
マルティニークなどのフランス系は、
ミディアム・ラムが主流だと思います。
はじめて飲んだマルティニークのラムは、
「サンリュス・エキストラ・ビュー」という銘柄でしたが、それまで持っていたラムのイメージが、がらりと変わりました。
それまで、ぼくはマイヤーズ・ラムのどこか雑味のある、どっしりと重い感じが好きでよく飲んでいたのですが、
マルティニークのラムは、液体の色も、淡い黄金色。
さらさらと上品で、このうえなく優美だったんです。
樽の中でかなりの歳月、熟成してるんですが、まったく重くない。
おとなになって、いい意味で、軽くなっているんです。
エレガントなブーケがあり、
アフターテイストもすばらしい。
小股の切れ上がった液体というのでしょうか。
江戸の粋に通じるカッコよさ。
まさに花の島の酒。
マラヴォアの音楽とよく似ています。
2年間、マルティニークに滞在した作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、
マルティニークの女性の、洗練された優美さ。そして、その真逆の、底に隠れた「野生」にすっかり魅せられたそうです。
これこそ、マルティニーク・ラムの魅力なんじゃないかな、と思います。